外来通院の正しい居場所

シフトを調節してもらい平日に休みを作る。総合病院に行く。

 

不正出血や生理痛などを主訴として、産婦人科に通院している。

エコー検査で異常は見つからなかった。念のためホルモン数値の検査を、と言われ、本日。プロラクチンや性ホルモンの血液検査のために採血してもらった。

 

わたしは大きい病院が苦手だ。いや、小さい病院も好きではないが、大きい病院は嫌いだ。

医者嫌いというものではない。病院の、あの慣れない居たたまれなさや居心地の悪さがどうにも耐えられない。

 

再診受付の機械に磁気カードの診察券を通す。受付No.が打刻された感熱紙に、「診療科の受付に提出してください」とある。無理。

産婦人科に感熱紙を渡すと、「再診受付のところにクリアファイルがあるので、今度からそれに挟んでから出してくださいね」と言われる。はい無理。クリアファイルに挟んで出せなんてどこにも書いてなかった。知らなかったわたしが悪いのだろうか。だがわたしはこの土地に引っ越してきてまだ少し、この病院に訪れるのもまだ2回目。この一見さんお断りのような空気に、わたしはもう既に帰りたくなっている。

名前を呼ばれて診察室に入る。どの椅子に座って、どこに荷物を置けばいいのか分からない。もうかなり無理だ。限界が近い。カゴに荷物を置けばとりあえず間違いではないかな、と思ってコートとバッグを置き、ここで合っているのかな?ここに座るとカルテ丸見えだけど大丈夫か?と思いながら傍の椅子に座る。落ち着かない。

少し話をして、なんとなくわたしと医師の間に少し沈黙がおりる。もう出て行っていいのか?分からない。クラークさんに「来週の金曜の朝一で予約をとっておきましたよ。それでは前のソファでお待ちください」と言われてやっと腰をあげる。

ソファで待っていても、ここで正しいのか分からない。ここのソファで正しいのか、病院に入ってすぐの総合受付のところじゃないのか、そわそわと居心地が悪い。

 

とにかく、自分の居る場所が正しいか正しくないかをずっと考えながら過ごす。

居場所が定まらないことがとても恥ずかしいような気がして、逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。

 

これを繰り返してやっと会計が済み、病院を出る。たった1時間足らずのことなのにどっと疲れた。

 

他の患者さんやその家族は、慣れた様子ですいすいと病院内を闊歩する。

あるいはここで待つ、呼ばれるまで待つぞというかたい意志のようなものを漂わせながらソファに座っている。

すごいな、と感服する。わたしはいつだってきょろきょろしている。

 

学生時代に病院でしばらく実習を受けたことがある。

患者さんが普段通らない道、見えない仕事を垣間みてきた。

だがしかし、表側のことはさっぱり分からない。さっぱり分からないから居心地が悪い。

 

来週の金曜にまた受診する。行きたくない行きたくない、とぶつぶつ言いながら、バスに運ばれて病院に行く。

決して医者嫌いではない。医者嫌いなどではないのだ。

だけど、ああ、行きたくない。