巻き寿司ホームシック

恵方巻をまるかぶりする文化は我が家には無かったが、小さい頃から節分に巻き寿司を食べる風習はあった。(ただしまるかぶりではなく、普通に切る。)

かんぴょうや三つ葉などが入った五目の太巻きと、牛肉を甘辛く煮たものだけを巻いたシンプルな中巻き。あと酢飯が余るのか、何故かいつもおいなりさんがセットでついてくる。母方の祖母が毎年作ってくれる。その味で育ったせいか、大人になった今でも大好きだ。

仕事の都合で実家から飛行機の距離に引っ越してきて以来、祖母の巻き寿司は食べていない。

 

今日は昼から近隣のスーパーをはしごして、海鮮系の太巻きを購入した。

穴子の蒲焼きやマグロが入っており、祖母の巻き寿司に比べるとそれはもう豪華であると言えるだろう。味もまあまあだった。

豪勢である。美味しかった。

だが幸せな気分にはなれなかった。

ただただ、祖母の巻き寿司が食べたい気分になっただけだった。さみしかった。

 

わたしがホームシックになるのは十中八九、祖母の料理が食べたくなったときである。

帰りたいなあ。

仕事の都合で、とりあえず来年の節分も祖母の巻き寿司は食べられないことは確定している。